「歴史・時代小説登場人物索引」の「アンソロジー篇」「単行本篇」継続版に引き続き、何とか2年がかりで「日本のミステリー小説登場人物索引」の「単行本篇」と「アンソロジー篇」の継続版を刊行することが出来ました。継続版に対するご要望・お問合せも多くいただいておりましたが、刊行が大変遅くなってしまったことをお詫び申し上げます。
10年後の継続版として本来なら2001年から2010年の刊行作品を採録対象とすべきではありましたが、全作品現資料からの採録という編集作業のため、2012年内に作業を終えられず、継続版の採録範囲を2011年までとして何とか刊行することができました。
編集作業中は、この10年におけるミステリー小説界の変貌というものを感じながら採録を進めることとなりました。いわゆる探偵小説を源流とするミステリー作品はその領域を拡大し、作品のゲーム化、ホラーやSFとの融合・テレビや映画との連携をますます進め、また警察・医療・コンピュータ関連など様々な職種にいた書き手がそれぞれの得意分野を詳細に書いていて、作品がさらに細分化され、日常生活の「謎」を探るような新たなタイプのミステリーも出現しています。またミステリー小説の賞をとった作品が内容的にはミステリーでなかったりする場合もあり、改めて「ミステリーとは?」と問わざるをえない状況で、採録の作業にもかなりの時間を費やすことになってしまいました。
そして、作家の多士済々化、作品の多様化に対応し、また時代・世相をも反映して、職種も多様になり、年齢層も少年少女から老人まで幅広い登場人物が出現しています。様々な楽器演奏家、犯罪心理学プロファイラー、歌舞伎町のホスト、契約社員やネットカフェ難民、パティシエの青年、または代理母、裁判員制度下で裁判員に選ばれた男、ゴミ屋敷に住む老女などなど…
一方、女性作家の活躍も目覚ましく、明野照葉、加納朋子、岸田るり子、真梨幸子、湊かなえ、矢口敦子氏ら多くの女性ミステリー作家が輩出されてきていることを知りました。作品中で面白かったタイトルとして記憶に残っているのが「更年期少女」(真梨幸子著)。  確かに回りに実在する人物たちのネーミングとしてぴったりだったので…

11年分の編集作業を終えたちょうどその頃、新聞記事で佐野洋氏の訃報に接しました。現状のミステリー小説界の中にあってはクラシックな薫りのする作品を採録したばかりでしたが、推理小説界の長老的存在であられた氏のご冥福を心からお祈り申し上げます。