「日本の物語・お話絵本登場人物索引1953-1986(ロングセラー絵本ほか)」に引き続いての、「世界の物語・お話絵本登場人物索引1953-1986(ロングセラー絵本ほか)」がようやく刊行の
運びとなりました。海外のすぐれた絵本作家たちの作品群を手にとり、目にすることができたの
は仕事とはいえ、楽しさもある作業でした。日本人的な感性とはまた違った外国人作家による絵やイラストレーション、そして諸国の風俗、文化を反映しているお話など、翻訳絵本は子どもたちに海外へ目を向けさせる最良の啓発本と思われます。
○日本に続いて世界の絵本の作業をすることを通して、絵本というものは洋の東西(南北)を超えて人々に受け入れられる“作品”なのだということを改めて感じました。絵と文の表現が合わせもつ力で、子どもに限定されずに、世代を超え、国を超えて人々に共感をあたえる力をもつものであり、特にロングセラー絵本には感動させられた絵本が数多くありました。絵本を通して洋の東西の違いを感じたことをいえば、日本は子どもに本当に優しい文化の国、西洋は逆に子どもを“お子様扱い”にしない文化の国々ではないかという印象を持ったということです。
○また、世代を超えてというよりも、世代による味わい方の違いということで印象に残った絵本の一つに「ねずみとくじら」(ウィリアム・スタイグ作 瀬田貞二訳)という作品がありました。ねずみのエーモスとくじらのボーリスが友だちになるというお話で、子どもには楽しいお話ともいえるものですが、しかし年を重ねた大人は、この絵本の最後のページの文には万感の思いが募ることがあるのではないでしょうか。その一節を紹介しますと……
『「さよなら、なかよしのくじら」とエーモスは、ちいさなこえでなきました。「さよなら、なかよしのねずみ」とボーリスがほえました。そして、なみまにしずみました。ふたりは、このさき2どとあえないことをしっていました。そしてぜったいにあいてをわすれないこともしっていました』……

もう何年にもわたって絵本ブームとも言われており、種々様々な絵本を手に取れる環境にあります。柳田邦男氏は「絵本は、人生で三度読むべきもの。」と述べておられますが、まさに、赤ちゃんから老人まで、求めればそれぞれにとってすばらしい絵本との出会いがあるだろうと思いました。 子どもたちへの海外絵本の紹介や読み聞かせに本書を活用していただければ幸いです。
(2009年4月)